「どうしたつらら?」
「い、いえ」
そう問われても答えられない。
「なんでもありません」と言うのが精一杯だ。
リクオ様は日に日に成長されて、なんだか寂しいなんて、
ご立派になられたことを喜ぶべきなのに。
もう「つらら、つらら」とわたしの背を追ってきた若ではないのだから。
そう思うと、あの数々の悪戯も楽しい思い出なのだ。
「なんだ、そんなことであんな顔してたのかよ」
「申し訳ありません・・・」
呆れたような主の言葉に雪女はしゅんと頭を垂れている。
そんな彼女の頭をポンと掌で叩いたリクオは、
まるで幼子を慰めるようによしよしと、頭を撫でて。
「安心しろ、つらら。これからもどんどん悪戯してやるからな」
「・・・・・・・はい?」
「おまえの若はなんも変わっちゃいねーってことだ」
「リ、リクオ様?」
「楽しみしてろよ」
「いえ、あの、ちょっと」
「あー、まずはどれからしてやろうかな」
「まままま待ってくださいっリクオ様ーー!」
「楽しみだな」
「楽しくありませんーーーーっ」
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