ー夫婦ー

とある正体バレ後の話
朝の日がきらきらと射す中、
「奴良くん!」
こちらに駆けてくる少年を認めたリクオの姿が昼に戻る。
「やぁ、清継くん、大丈夫だった?」
「この通り、ぜんぜん平気さ!本当に君が主だったんだね」
「うん・・・・黙っててごめん」
「何を言うんだい!謝る必要なんてぜんぜんないよ!そんな秘密、おいそれと人に言えるけがないさ」
「ありがとう・・・」
「こちらこそいつも助けてくれれありがとう」
畏れるよりも嬉しくてたまらないという様子の清継にリクオも嬉しくなる。
いい友達を持ったなと思っていると、
彼の視線が少し後ろで控えている少女の方へ向けられた。
「及川さんは・・・雪女だったんだね」
「うん、ボクの側近頭で、そしてボクの大事な女の子」
「リ、リクオ様!」
「そうか!うん、すごくお似合いだよ、さっきのは何かの技かい?あれもすごかったよ!
やっぱり主はすごいな、及川さんもありがとう!
結婚式にはぜひ呼んでくれたまえ!全力でお祝いさせてもらうから!」
「気が早いなぁ清継くん、ボクらまだ13歳だよ?早くても5年後だよね?つらら」
「けけけけ」、と真っ赤になっておかしな声を上げているつららを背に、リクオは「あはは」と笑う。
「これからも精一杯力になるから、僕に出来ることならなんでも言ってくれよ、奴良くん!」
「うん、ありがとう心強いよ」
そう答えた途端、目の前の少年の顔がくしゃりと歪む。
「・・・僕は・・・僕はね・・・」
「うん・・・」
泣き出してしまった少年に困ったように、照れたようにリクオが応えていると、
今度は背後で「ふぇ」と小さな泣き声。
おいおい。
「つらら、お前まで何泣いてるのさ」
「す、すみません」
「もう・・・しょうがないなぁ二人とも」
少年の泣き声と少女の泣き声に苦笑を浮かべていた昼姿の主は、
夜の畏れもかくやとと言わんばかりの笑顔でもって二人に向かって微笑んだ。
「でも・・・、ありがとう」
「主ーーーー!」
「リクオ様!」
「うわぁっ」
「行かないのカナ?」
「あそこに割り込むとか無理!」
「だよねー」
ブラウザバック