それはどんな風だろう。

惹きこまれるように近づき気がつけば触れていた。












今日はシマでこんなこんなことがありました、そうそうリクオ様、あれはご存知ですか、

などと、楽しげに話をするつららを酒のつまみにし、ぼんやりと聞いていたのに。

突然それが気になりだした。

それに触れたらどんなだろう。

相手の臓を凍らせるというほどの文字通り命がけのものだとしたら

きっと甘美に違いない。

「・・・・なぁつらら」

「はい?」

こちらがどんな不埒なことを考えているかも知らず、

にっこり微笑み見上げてくるから。

ほんの少し、ちょっとだけと、見上げるつららとの距離をいっきに零にしてみた。










「いいですかリクオ様!雪女に対していきなりく、く、口吸いなどしてはいけませんっ!

もしものことがあったらどうするんですかぁ!!」

翌朝、金の瞳を潤ませながらのお説教をリクオは粛々と受け止めた。

「うん、ごめんね、つらら。でもほらこうして無事だし」

無事だったのは驚きのあまりつららが息をするのも忘れていたせいだったが、

それにしてもつららは口付け自体は嫌がっていないようだなと、

殊勝に謝罪しつつも頭の中では、

目の前で怒る雪女の昨夜の唇の感触を思い出すリクオだった。

ああ、やっぱり甘かった気がする。ちょっとひんやりしていて、

でもとても柔らかく、ぷに、とあたった途端夢中になった。

そうすると説教中の唇に自然と目が行き、

ああ、もう一回したいなぁ、きっと今のボクだとまた違う感じなんだろうな。

なんて、思うのも仕方が無いよねと。

「ねぇつらら」

「なんですか?というかちゃんと聞いてますか!」

「うん、聞いてる聞いてる。いきなりしたのはボクが悪かったって思ってる」

「な、ならいいんです。もう絶対しちゃ」

いけませんと言われる前にさっとばかりに言葉を挟む。

「これからはするまえにちゃんと言うから」

「・・・・・はい?」

「というわけで、昼のボクも今からしていいかな」













朝っぱらから雪女の絶叫が響き渡る。

なんだなんだとわらわらとやってきた小妖怪達が見たものは、

「なぁんだ、若と雪女の痴話げんかか」

妖怪騒がせな二人だなぁ、などといつものことなので三々五々散っていく。








「ややややややめてくださいーーーー」

「ほら、つららちょっとだけ息止めて?」






首無と黒羽丸が止めに入るまで後数秒。



奴良組は今日も賑やかだ。




ブラウザバック